フリーランスとして活動していると、自分の好きなものや得意なことだけで仕事をしていたくなる瞬間がある。でも、それって本当にプロとしての在り方だろうか?
今回は、私がこれまで多くの現場で感じてきた「クリエイターに必要な感覚のあり方」について、少し厳しく、でもとても大切な視点として綴ってみたいと思う。
好きだけじゃプロとは言えない!
人間は、普通に生きているだけでどうしても、自分の「好きなもの」「心地いいもの」「馴染みのあるもの」に囲まれ、そこに情報も思考も偏っていきます。それは決して悪いことではない。むしろ自分の好きを深めるのは、人生を豊かにするための大切なエネルギーでもあります。
でも、フリーランスのクリエイターであるなら、それだけでは足りません。
私たちは、企業の「伝えたい」を形にする、ビジュアルと印象をつくる仕事をしています。つまり、企業のビジネスの根幹に関わることになる。そんな私たちが、自分の趣味や好みに固執していたら、クライアントの課題にも、ユーザーの多様な感性にも、きちんと応えることはできません。
偏りを恐れず、むしろ飛び込む
クリエイティブの幅を広げるためには、常に感覚のアンテナを「好きなもの」以外にも向けておくことが不可欠です。
たとえば、自分には関係ないと思っていたジャンルの映画や音楽、普段読まない雑誌、世代も文化も異なる人との対話……。そんな自分の「外」にある世界にあえて触れることが、感性を磨き、思考を柔軟にし、視野を広げてくれます。
「自分に合わないから」とシャットアウトせず、いったんフラットな気持ちで受け入れてみる。そうした姿勢が、引き出しの多い、深みのあるクリエイターをつくります。
プロであること──アーティストではなく
もちろん、自分のスタイルや信念を持つことは大切です。しかし私たちは「アーティスト」ではなく、「クライアントに価値を提供するプロのクリエイター」であることを忘れてはいけません。
どんな案件でも柔軟に対応し、求められている本質を捉え、最適な表現で応えること。そこにこそプロとしての価値があります。
心はしなやかに、感謝とともに
常に感性を研ぎ澄ませ、同時に心を柔らかく、広く保つこと。そして、あらゆる出会いや経験に対して「ありがたい」という気持ちを忘れないこと。そうした姿勢が、良いクリエイティブを生み出す土壌になります。
感覚は鋭く、そして広く。
その積み重ねこそが、信頼されるクリエイターをつくるのだと思います。
さいごに
もし、この記事を読んで少しでも心が動いたなら、ぜひ今日からでいい。
興味のなかったジャンルに触れてみよう。見ないようにしていた世界に目を向けてみよう。
頼ろうとする弱さを脱ぎ捨てて、自分の殻から飛び出そう。
勇気を出して広い世界に目と耳と感覚を向けてみよう。
つまらないださいクリエイターじゃなく、おもしろくカッコいいクリエイターを目指そう!