この記事の内容は2020年8月19日公開当時のものですので、現在の状況とは異なることがあります。
「あなたのお店を地域NO.1に導きます」をコンセプトに、美容業界専門のブランド構築、店舗プロデュースなどのトータルサポートを行う株式会社BRIDGE DESIGN WORK’S(ブリッジデザインワークス)。現在、他ジャンルの事業も複数はじめられるなど躍進を続けている。その道のりと今後の展望を、代表取締役の斉藤章行さん、取締役の大田智志さんにお聞きした。
株式会社BRIDGE DESIGN WORK'S
左:斉藤氏 / 右:大田氏
二人が出会ったのは、ファッション雑誌『カジカジH』を取り扱う広告代理店。斉藤さんが営業、2年後輩の大田さんがデザイナーとして勤務していた。「斉藤さんは、かなりイケてない先輩でした(笑)」と大田さんが言うように、斉藤さんは当時、社内で最も売れない営業だった。しかし以前は、携帯電話販売会社に勤め、販売シェア全国1位を取るほどの敏腕営業。「販売は得意。どんな物でも僕以上に売れる人間はいないという自信がありました。けれど、雑誌広告は売れなかった」。営業先の美容室オーナーから言われたのは「俺たちも商売をしてるんだから、広告に100万円使うなら100万円以上の利益が見込めないと投資なんてできない。そういうことを意識できてるの?」。その言葉にハッとし、売った後どうなっているのか、お客さんのためになっているのかを考えていなかったことに斉藤さんは気づいたという。また、大田さんから「ヒアリングシートを使って、もっとお客さんの想いを汲みとってみては」と助言されたこともあり、斉藤さんの営業スタイルは「売る」から「結果」に変わり始める。
「デザインや広告を依頼されて、何を提供するか?究極は現金。チラシを作って、明日お客さんに現金がいくら入ってきます、という話ができないと、集客や広告をやっている人間は無価値だと思っています」。想いを同じくする二人は、社内会議でも「雑誌広告のページ売りだけではなく、もっとお客さんが喜ぶことにシフトしよう」と提案。毎晩12時まで二人で語り合い、集客できる方法を勉強し続けた。その結果、ある店舗で彼らの作ったチラシは200人近い集客を実現する。手応えを感じた初めての経験だった。「この時、お金を貯めていつか二人で独立しよう、と話していました」。
ほどなく、売上不振により広告代理店が倒産。転職か独立かを迷う斉藤さんの背中を押したのは大田さんだった。「やるんちゃうの?と。二人とも貯金は全然できてなかったですが(笑)」。2015年、BRIDGE DESIGN(当初の屋号)がスタートする。手応えのあった集客できるチラシに磨きをかけ美容室に売り込んだ。独立して3年は毎日チラシを作っていたという。集客できることが口コミで広がると、お客さんを呼べずに困っている美容室から依頼が来るようになった。
その成功の影には、二人が「師匠」と呼ぶ恩人の存在がある。独立当初に仕事をくれた京都の美容室グループのオーナーだ。「自分たちのやり方でやってみろ」と4店舗分の仕事を依頼してくれた。しかし上手く集客できなかった。見かねたオーナーから「ウチの秘伝を教えるから、それで食べていけ」と言われ、チラシを渡される。その美容室グループは、自社でセールスライティングやキャッチコピーを研究し、800人ぐらいを集客するチラシを作っていた。「ショックでした。しかし、そのチラシには、行ってみたくなるような、希少性や限定感、見た人が自分のためになると思える要素が盛り込まれていました」と斉藤さんは語る。そこから、毎週のように京都のオーナーの元へ通い修行をした。「色んなヒントを得て、自分たちなりにポイントを入れたチラシは当たりました。作る回数を重ねるごとにコツが分かるようになりました」。その後、新たに依頼された滋賀県の美容室のオープン告知では、チラシだけで、3ヶ月間に2,200人を集客するという大きな成果も上げた。その他にも数多くの実績を残し、自信を持った二人は、結果が出なければお金はいらないという成果報酬型の提案をするまでになる。
「地域NO.1のお店をつくる」をコンセプトに、現在は、集客チラシだけではなく、Webサイト制作、建築や店舗内外装プロデュース、資金調達やコンサルティングに至るまで多岐に渡るサポートを行っている。単発ではなく、共に歩むパートナーとして、多くのお客さんと継続的な契約を結んでいるという。「相談されるからには結果を出す。本気なので、中途半端なことはしたくない」と斉藤さんは熱く語ってくれた。時には取引先のオーナーに厳しい意見を言うこともあるという。
「接客についてもアドバイスします。昔から、顧客満足と言われますが、今では当然中の当然。“顧客感動”までいかないとダメなんです。例えば、カットの際に使用したシャンプーをお客さんに売り込んで失敗する美容室が多い。お客さんにも今は買えない理由があるはず。本当に相手のことを考えるのであれば、1週間分ぐらいをサンプルとして特別に無料でお渡しする。それを喜んでくれないお客さんなんていませんし、それが期待値を超えることになる。普通の美容室がしないことをしましょう。やろうと思えば誰でもできる。お客様が喜んでくれることを考えたらワクワクしませんか?あきらめる前に自分の努力を怠ってませんか?と言っています。もちろん、そう言うからには僕たちも普通の広告会社の想像を超えることまでやります。関わる人に“感動”してもらうことを何より大切にしているんです」。
2019年6月、ODPのインキュベーションオフィスに入所。その後すぐに法人化し、現在リモートスタッフを含め5人体制。美容業界のトータルサポートをメインに、アパレルブランドや美容ディーラーなど事業を拡大している。積極果敢にチャレンジを続ける二人に、今後の展開についてお聞きした。「僕たちの裏コンセプトは“人生の選択肢の幅を広げる”なんです。これからウチに入社した人が、こんなことをやりたいと言ったら何でも後押ししてあげられる会社になりたい。だから、まずは自分たちがやってみたいことに挑んでいます。もちろんビジネスなので、いかにハズさないかを追求していきたい」と斉藤さん。「安定は望んでいない。チャレンジして傷だらけになったほうが生きている実感が湧くんです。会社としては、個人個人が強く、それぞれが売り上げを立てられるようになっていきたい」と大田さんは語る。
広告代理店時代から10年間、いつも二人で話し合い、課題を乗り越えてきたという。二人のバランスの良い掛け合いを聞いていると、これからもそれは変わらないだろうと感じる。お客さんの想いをしっかりと捉え、結果にこだわり続ける彼らが、これからどんな“感動”を生み出していくのか楽しみで仕方ない。
クリエイターズボイス公開日 : 2020年8月19日
取材・文 : 林 弘真(ハヤシ ヒロマサ コピー & デザイン)