セールスプロモーション 濱本 輝彦インタビュー記事

CREATOR’S VOICE
クリエイターズボイス-
元入所企業インタビュー

現場監督で処世術を、ホストクラブで購買心理を学ぶ

「僕が生まれた家は非常に貧しく、幼稚園に通わせてもらえませんでした。小学生時代もおもちゃを買ってもらえず、洗濯ばさみでガンダムをつくるなど、お金を使わず目の前にあるモノを使って遊びを考えていました」。

中学生になると、「将来は豪華な家に住みたい」という夢を持ち、建築デザイナーを志望。新建築やCasa Brutusなどの建築専門雑誌を読みあさり、工業高校の建築学科に進学する。卒業後は建築設備の会社で現場監督として働きはじめたが、18歳の監督の言うことなど、20~30歳も年上のベテランの職人が聞いてくれるはずもない。大声で怒鳴られたり、こづかれたこともあったそうだ。

「海千山千の職人さんたちと仲良くなろうと、休憩時間に差し入れを自腹で配ったり、飲みニケーションなどもしていました。その会社では世の中を渡る処世術を学びましたね」。

数年後、営業術を身につけようとファッション会社の求人に応募・・・したはずが、面接に行くと、そこはホストクラブ。「だまされた!」と思ったものの、オーナーに説得されて入社することになった。しかし、3ヶ月間は売上ゼロで、給料は固定給のみの数万円。手渡しではなく床に投げつけられたこともあった。そんな屈辱の日々を抜け出すため、一念発起。お客様の困りごとや悩みを聞き、共感して解決策を提案する営業手法を自ら編み出し成果をあげていく。そのホストクラブでは人の購買心理や、購買につながるトーク術、そして『作業量ではなく、成果=お金』の考え方を叩きこまれたと振り返る。

電話営業などでマニュアルづくりの基礎を習得

約1年半後、培った営業スキルを武器に、次は表社会の法人営業で、どれだけ結果を出せるかを試したいと考え、軍隊のように厳しいと有名な大手営業会社に転職。テレフォンアポインターのアルバイトで入社し、半年間で関西ナンバー1に。正社員として正式採用され実績を積み重ねた結果、外回り営業部隊のチームリーダーに任命される。細かいトークスクリプトを含んだ営業マニュアルを作成し部下に徹底させ、チームも関西ナンバー1に。

その会社で約4年間、勤務した後、コールセンターに転職し、学生時代の夢であった建築デザイナーをめざして夜間の専門学校に通学。当時に出会った仲間とともに、プレゼン形式の勉強会を主宰し、セミナー講師の甲子園といわれるセミナーコンテスト大会に出場、優勝を果たした。その栄光を胸に自信を持ってセミナー講師として起業し、独自のセミナーを開講するが、まったく集客ができずに挫折。自らセミナー講師をするのではなく、集客力のあるセミナー講師のプレゼンスライド作成を請負うことにした。

「当時、私はパワーポイントしかソフトを持っていませんでした。目の前にあるソフトだけで、いかに顧客の役に立つものをつくるかを考え抜きました。小学生時代の一人遊びの体験が役に立ちましたね」。

当初はプレゼンスライド作成だけであったが、ストーリー&マーケティング視点を学ぶため、複数のコンサルに弟子入り。販促の基礎を学び、プレゼンづくりに反映したところ、成約率が向上し売上が上がると評価され、事業は徐々に拡大。しかし、天狗になっていた時期があり、6年目に受注した大手企業のプロジェクトが失敗して負債を抱え、一旦は事業をたたむことになり、それから失意の2年間を過ごす。

失意の中、約2年間はニート生活を経験。そんな濱本氏の姿を見かねた先輩経営者にハワイ旅行に誘われた。訪れた先は、その方が所有する広大な敷地に立つ豪華な別荘。「頑張れば、こんなところに住めるんだ」と思い、もう一度チャレンジしようと立ち上がった。

帰阪後、コツコツと仕事を受注する傍ら、深夜に弁当工場でも働き、1000万円弱あった借金を完済。それを機に、2019年9月、ODPインキュベーションオフィスに入所しセールスプロモーションを起業する。 現在、入所から約1年が経過し、人の縁にも恵まれ、世界で有名な企業のプレゼンテーション作りを受注するなど、再び事業拡大に向けて前進している。

徹底した調査とフォローにより成果を導き出す

「営業スタッフのロールプレイングを見せていただくと、その企業の商品やサービスの強みや課題が把握できます。一番の問題は、ほとんどの会社が営業スタッフ間で資料やノウハウが共有化されていないこと。改善点をトークスクリプトやプレゼンツールに反映していきます」。

顧客企業への電話インタビューでは、得意先5~10社を選んでいただき、「あの会社に出会う前に、どのような悩みがあったか」「他の企業は探したか」「契約の決め手」など、顧客がその企業を選んだ理由、つまり顧客から見た真の強みや購買心理を明らかにしていく。ライバル調査については、コンペティターとなる企業のWebサイトを見て、強みや営業戦略などを徹底的に調査・分析する。

これら3つの調査をもとに、商品やサービスの真の勝てるポジションである「センターピン」を立て、それを軸に成約率の高いトークスクリプトや、セールストークを誰でも再現できるプレゼンツール、各種販促ツール・動画などを制作していくのだ。

また、濱本氏はツール制作後のフォローも徹底。顧客が制作にかけたコストをいかに早く回収してもらうかを何よりも意識している。「納品して売上が自動で上がるツールなんて、この世の中に存在しません。ツールを納品して終わりではなく、活用方法やセールストークまで考えて提案し、社員研修も実施します。説明の仕方はもちろん、語尾の使い方、表情などに至るまで指摘することもあります。また、ビジネスに情熱はあるものの、サービス自体に問題がある場合は、サービス開発を一緒に考え提案をすることもあります。」

クライアントとの打合せ風景

コンサルタントではなく、あくまでもクリエイター

現在、新型コロナの影響で、外回りができない企業から「TV会議営業の仕組みづくり」の引き合いが増えている。リモート営業も、基本は対面営業と同じで、3つの調査を実施し、トークスクリプトやプレゼンツールに落とし込んでいく。例えば、商談室への入り方や挨拶の仕方、TV会議商談における相手の心のつかみ方、顧客課題を聞き出す方法、課題解決法など、詳細にわたる。

直近の課題は、外部に制作部隊をつくること。今春から「プレゼンクリエイター塾」をTV会議で開講し、パワーポイントを使ったプレゼンツールのつくり方を教え、制作を依頼する計画だ。「制作チームが整い生産性が上がればWebプロモーションで自動集客のラインを創りたい。そして制作体制や集客の仕組みが固まれば、一気に事業拡大のスピードを加速していきたい」と話す。

このような事業を展開している濱本氏はコンサルタントと呼ばれることが多いが、「僕はあくまでもクリエイター」と強調。つくり上げたツールの効果を最大化して売上としての成果を出していただくために、営業手法や教育を含めて事業全体をデザインしていくことが使命だと語る。

そんな濱本氏の今後の夢は、50代前半で現役引退して「営業」「セールス」を心置きなく研究したいということ。そして、かつて失意の時代に先輩経営者がしてくれたように、次の世代にビジョンを与える存在になりたいという。一見、大風呂敷のように聞こえるが、そこに至る道は既に計算し尽くされ、先に一筋の光が見えている。大きなビジョンに向かって加速しつつある濱本氏の今後に注目だ。

「デザインを作るのではなく売上を創ることが販促業の価値」
そこがクリエイティブの肝になる

 セールスプロモーション 濱本 輝彦

クリエイターズボイス公開日 : 2020年11月9日

取材・文 : 大橋一心(一心事務所)

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