DESIGNERS OFFICE
デザイナーズオフィス入所企業紹介

株式会社カガワデザイン

代表者名

代表取締役 賀川 康正

Website

https://kagawadesign.net

連絡先

TEL:090-5057-6891

EMAIL:kagawa@kagawadesign.net

マーケティングの分析結果から最適なコミュニケーションツールで解決します。
商品を開発しても良い商品だけではヒット商品にはなりません。
ターゲットの嗜好や店頭での見え方、競合商品の動向など様々なリサーチをしてこそ戦略が見えて来ます。
①店頭調査→②競合メーカーとの比較③分析④改善⑤検証PDCAサイクルとして標準化していきます。
調査を踏まえて見えてきた課題に合わせて最適なデザインツールで解決していきます。

■マーケティング
店頭調査や競合商品の分析など

■デザインの企画・立案及び制作
・ロゴデザイン
・シンボルマーク
・パッケージデザイン
・カタログ
・パンフレット
・チラシ
・Web

CREATOR’S VOICE
クリエイターズボイス-
入所企業インタビュー

パッケージデザインを中心に、パンフレットやカタログ、ロゴなど、グラフィックデザイン全般を手掛ける株式会社カガワデザインの賀川康正さん。入所企業紹介にあるマーケティングの分析結果から最適なコミュニケーションツールで解決します」という言葉の通り、仕事のベースにあるのが徹底的なマーケティング。そのスタンスに至った背景には、前職から現在まで大手家電メーカーの商品を手掛てきた経験がある。これまでの道のり、今考えていること、未来への展望など、ベテランデザイナーのリアルを伺った。

見るチカラを、伝えるチカラに
マーケティング思考のデザインで課題解決

株式会社カガワデザイン 代表取締役 賀川 康正 氏

何かをデザインするとき、インスピレーションで作る人、手を動かしながら考える人、過去の作品からヒントを得る人など、さまざまな制作手法があるだろう。賀川さんは「まずは見ること。基本的にリサーチから入ります」と、自らのスタイルを語る。

デザインする前に、競合他社のパッケージや訴求ポイント、トレンドなどを細かくリサーチ。それを分析して課題を洗い出し、デザインで解決を図るのが基本となるワークフローだ。また、商品が店頭に並んだ後にも、「定点観測」を行う場合があるという。賀川さんが手掛けたLED照明の例では、ビックカメラなんば店、ヨドバシカメラ梅田店などの家電量販店に赴いて、商品が売られている陳列棚を撮影。それを毎年行うことで、各メーカーの占有率やPOPなどの変化を調査するそうだ。
「徹底的に調べることで、デザインに確かな裏付けができますし、説得力も増します」と言うが、ここまで緻密にリサーチし、マーケティングを実践できるデザイナーは少ないのではないだろうか。
そんな賀川さんが制作者の一員として携わった近作が、パナソニックの電動工具「充電マルチツール」用ブレードのパッケージデザイン。21種もあるブレードを3種のブリスターに集約することで、地球に優しく、コスト削減にも貢献。そのアイデアが評価され、2020年の「日本パッケージングコンテスト」で日本パッケージング協会会長賞を受賞した。

記念すべき受賞を果たした「充電マルチツール」用ブレードのパッケージ

大手企業の仕事で磨いたデザイン力とリサーチ力

デザイナーを志したのは高校生のとき。美術部だったわけではないが、子どもの頃から絵を描くのは好きだった。「それぐらいの理由だったんです。ちょうど平成に変わるタイミングで、バブルの面影があった頃。真剣に考えなくても何とかなるって感じで(笑)」
高校卒業後、大阪美術専門学校へ進学。グラフィックデザインコースで2年間学んだ後、就職してデザイナーの道へ。住宅情報誌の広告がメインのデザイン事務所、新聞広告を扱う広告代理店などで働きながら、20代中頃で入社した4社目が勤め人として最後の企業になる。
「パナソニック関連のデザインなどを行っている会社で、DVDメディアやLED照明のスタート時からパッケージを提案・担当したり、いろんなことをやらせてもらいました」と、デザイナーとしてのスキルと経験を着実に積み上げていった。この頃に培ったのが前述のリサーチ手法だ。「ありがたいことに予算もあったので、しっかり調べられましたね。おかげで、分析結果を基にデザインする習慣が身に付きました」
この会社で20年勤めたという賀川さん。その間には3年間パナソニックへの出向も経験するなど、外からは充実したキャリアのように見える。「仕事は楽しかったし、やりがいもありました。気が付けば20年。独立しようとは考えていなかったんですが」と語るが、さまざまな要因が重なり45歳で独立。思いもよらぬ大きな変化が訪れた。

独立して気付いた人とつながる大切さ

2014年6月、地元・堺市のインキュベーション施設「S-cube」へ創業準備のために入居。同年10月に法人化して独立を果たす。肝心の仕事については、前職で携わっていたDVDなどの記録メディアのパッケージデザインを独立後も担当できることに。しかし、大手企業だけに受発注の契約に時間が必要で、独立と同時にスタートという訳にはいかなかった。
「契約が完了するまでは不安でしたね。それまでは、知人からロゴデザインの仕事をもらったり、入居していたS-cubeの冊子や入居者カードの制作者募集に応募したり。そういえば、イラストを描いてLINEスタンプも作ったかな。全然売れませんでしたが(笑)。何とか食いつないだ感じです」。甘さ控えめな創業期を経て、年明けにようやく契約が完了。どうにか仕事が軌道に乗り始めた。
そして、2019年5月1日、令和の始まりと共にS-cubeを出て、堺市内でオフィスを借りて再スタート。心機一転、さらに邁進するかに思えたが、「オフィスにこもりっぱなしで、人との交流がなくなってしまって」と言い、その状況に追い打ちをかけたのが新型コロナウィルス。緊急事態宣言が発令され、さらに人との接触が無くなっていった。「1ヶ月誰とも会わない状態が続いたり、コロナによって仕事が一気に減ったり。ずっと独りぼっちで、世間から取り残されてる感覚でした」
このままではイケないと危機感を抱いた賀川さん。S-cube時代のインキュベーションマネージャーに相談したところODPを紹介され、2021年2月に入所。そして、現在に至っている。「新しいつながりによる仕事への期待はありますが、自分の話を聞いてもらえるし、他の人の近況も知れる。精神的な安心がなにより大きいですね」。フリーランスのクリエイターならば、誰しもが感じるであろう孤独と寂しさ。人とつながることの大切さを再認識しているという。

前職から手掛けるDVDやSDカードなど記録メディアのパッケージ

思いを伝えるスキルを活かして、次のステップへ

株式会社カガワデザインのロゴの下には、「COMMUNICATION DESIGN」とタグラインが謳われている。また、冒頭に挙げた入所企業説明の言葉にも「コミュニケーション」という言葉がある。そこに込められた思いとは?
「パッケージデザインもグラフィックデザインも、クライアントの思いを伝えるためのコミュニケーションツール。思いを分かりやすく伝えるのが仕事だと思っています」。また、得意とするパッケージデザインについては、「パッケージはお客様との最初の接点であり、出会いの部分。だからこそ、できるだけ丁寧に作りたいですね」と語る。綿密なリサーチも、精緻な分析も、全てはクライアントの思いを伝えるために必要な工程なのだ。
45歳で独立し、現在52歳。ベテランと呼ばれる世代となると、経営者の道に進む人、生涯プレイヤーとして歩む人など、さまざまな道が見えてくる。自身はどんな道を考えているのだろうか?「僕が勤め出した頃には、50代のデザイナーって見たことがなかったんですが、自分がその年代になったんですよね(笑)。まだ具体的なプランは見えてないですが、デザインのコンサルティングだったり、リサーチ手法を教えたり、私の経験や知識を伝えるような活動ができればと思っています」
確かな実力と経験を活かして、新たな可能性を模索する賀川さん。リサーチからパッケージデザイン、販売後の売場調査までフォローできるスキルは、マーケティングに悩む企業は強く求めているはず。もっと積極的に発信して打ち出すべきでは?と伝えると、「前に出るのは苦手なんですよね。悩み多き50代です」と穏やかに笑う。その優しい笑顔もまた賀川さんらしい。

クリエイターズボイス公開日 : 2021年8月30日

取材・文 : 眞田健吾(STUDIO amu)