Designers PRESS vol.9

 古民家の「建築美」と「温もり」を「現代の住まい」として残したい 平井憲一建築事務所 平井 憲一Kenichi Hirai 1951年生まれ。音楽家を断念した後、建築家になるべく猛勉強。1978年に事務所設立。シンプル&モダンを基本に、美しく気持ちのいい住まい、医療空間、商業施設、ワークスペースなどを手がける。2003年に「古民家再生ネットワーク」を立ち上げる。受賞歴多数。

平井憲一さんは、その作品が建築雑誌に何度も紹介されている実力派建築家。エッジの効いたモダンな外観と、依頼主の好みや実用性を重視しつつ、家具にまでこだわり抜いた高いデザイン性が持ち味だ。さらに、今はやりの「古民家再生」の第一人者という顔も併せ持つ。今回は、その古民家再生の部分にスポットを当てて、お話を伺った。まずは、その意義から・・・。

歴史はお金では買えない。古民家の価値にようやく光が

「若いご夫婦が、古い民家を手に入れて、リノベーションの依頼に来られたことがあります。30歳過ぎの普通のサラリーマン。親や友人から大反対されていると言いながら」
再生費用と古民家入手費用を合計すれば、かなり贅沢なマンションが購入できる金額になる。周囲の反対も当然だろう。
「でも、完成した家を見て、反対していた誰もが納得されたようです。特に親御さんが『我が娘ながら、たいしたもんだ!』と」
平井さんの手にかかると、廃墟のような古民家が、現代のライフスタイルに合ったモダンな仕様とデザインに変身する。重厚な梁、漆喰壁、リズミカルな格子が、最新の床材などとマッチし、息をのむほど美しい。光があふれ、のびやかで、そこに暮らせば人生の質そのものが変わってしまいそうだ。
「風雪に耐え、人々を守り抜いてきた古民家には、温もりと、不思議な生命力があります。それは、経済性と合理性を追求した新しい建築では得られないものです。ようやく日本でもその価値が注目され始めましたが、欧米ではむしろ常識。日本の古民家を解体して自国に移築計画中の、フランス人のクライアントが言ってました。『歴史はお金で買えない』・・・名台詞でしょ」
平井さんの進める「古民家再生ネットワーク」のキャッチフレーズは「未来に残したい、日本の遺産」だ。

バブル全盛時代に出会った、江戸末期の家 「これをつぶすのは、悲しすぎる!」

「古民家との最初の出会いは1980年頃。当時、僕は30歳。モダンでクリエイティブな設計に、邁進していた頃です」
そもそもの依頼は離れの増築だったのに、たまたま母屋の梁や柱を目にした平井さんの脳裏に母屋の再生がひらめいたという。
「その母屋は江戸末期のもので、お坊さんの月参りの時以外は全く使われていませんでした。いずれは壊されてマンションに変わっていく運命・・・。日本人の感性として、それはあまりに悲しいと思ったのです」
当時、まさにバブル全盛期。新しいモノが絶賛されていた時代だ。
「古民家という言葉すらありませんでした。ましてや現代の生活様式に合わせて再生する事例などほとんどなかったですね」
平井さんの手で甦った古民家は圧倒的な存在感を放ち、建築誌や新聞で紹介される。家庭画報の特集に掲載されれたこともあった。
「といっても、当初20年ほどは、古民家再生の依頼はごくごくわずかでした」
ブームが訪れたのは2000年を越えてから。ようやく時代が平井さんに追いついた。

クリエイターの幅は 日常の体験から生まれる

平井さんには、古民家再生の先駆者として、一つの持論がある。古い建築様式を残すだけでは再生にならないというのだ。
「そこでの生活が機能的で、居心地のよい空間であること。それではじめて、そこに住む方々もその家を大切に思われるでしょう。大切にする心を芽ばえさせる設計力こそが、古民家を未来につなぐ力になるのだと信じています」
昔は暗く狭い所に追いやられがちだった水廻りや、画一的な和室などを、間取りから大きく改変し、現代の暮らしにマッチさせる。さらに平井さんの場合、その高いデザイン性が心地よさを倍増させているように思える。
「けっして自分のスタイルに染め上げるわけではありません。クライアントの好みを把握し、じゃあ、こういうのがお好きかな?と」
お客さまのさまざまな嗜好に対応できる・・・それだけ感性の器が大きいのだろう。
「クリエイターの幅は体験から生まれると思っています。例えば海外旅行や出張時など、いいホテルに泊まることにしているんです。上質のサービスや調度品に直接ふれることで、その質感を体に取り込むことができますから」
日課となっているスイミングをはじめ、オーディオ、旅、写真など非常に多趣味な平井さん。
「生活者としてどれだけ楽しんでいるか・・・。それも、人を感動させる力になるような気がします」

2006年の事例。築130年の暗い家を解体・再生工事。天窓や光庭を設け明るく開放感のある空間へと一変させた。リビングの床に貼られた白タイルが清々しい
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平井さんの古民家再生第一作(1980年)。江戸末期の大きな屋敷を、解体・再生工事により、現代のライフスタイルに合った住まいに甦らせた。建築雑誌や新聞に掲載され、話題を集めた
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「古民家再生ネットワーク」のホームページには、「新築以上に高くつく?」「地震がきたらどうしよう」など、誰もが抱く疑問と回答がわかりやすく書かれいてる。このホームページも自社製だ http://www.kominka.ne.jp/

依頼主の好みや、完成した建築物の雰囲気に合わせて選曲した「オリジナルCD」を、引き渡し時にプレゼントするそうだ。以前音楽家を目指していた平井さんならではの洒落たサービス!
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家具の選定まで、すべて面倒見るのが平井流。 「一度成功したからといって金太郎飴みたいな設計はしたくないんです。お客さま一人ひとりの好みやライフスタイルを掘り下げ、よりブラッシュアップしたデザインを提案したい。どんなに小さな古民家でも情熱をもって再生します」 顧客の要望に応えて、プチ・リフォームも始めたそうだ(画像をクリックで拡大します)

私のイチオシ

フラワーコンテナ&フラワーハンギング
セントラルアトリウム

ITM棟の中央を2階から12階まで貫く巨大吹き抜け! ダイナミックな構造空間に光がさんさんと射し込み、毎日ここを通る度に、高揚感と開放感を満喫しています。

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