老若男女、誰もがジオラマに魅了されるのはなぜだろうか。
「車窓に流れる旅情あふれる風景や子どものころ体験した懐かしい場面、あるいはこんなまちや家に住んでみたいという理想のシーンなどが、ジオラマという造形物に凝縮されているからでしょう」
なるほど。理由は至ってシンプルだ。もしかしたら、フィギュアやドールハウス、あるいはガーデニングの箱庭などもその延長線上にあるのかもしれない。
ジオラマという箱庭に詰め込まれた数々の生活シーン。まるで時間が止まったような空気感。風景をひとりじめできる贅沢な錯覚が、時代とシンクロする。ジオラマが愛されるのは、単に模型が精巧につくられているからではない。
「ジオラマには生活感や懐かしい空気そして動きがないと」
子どものころ好きだった鉄道模型は「ジオラマ=情景を演出するために必要不可欠なアイテム」だ。主役は鉄道でありジオラマは脇役だとも。あくまで鉄道模型ありき。決して鉄道オタクではないので念のため。
折りしも鉄道ブーム。大手家電量販店が鉄道模型を取り扱い始めたことも追い風となった。各地で行われるイベントや展示会はもとより、レストランやバーなどからのジオラマの製作発注も相次いだ。
「一番印象に残っているのは、奈良の『シルクロードの終着駅』というレストランに、オープン当初から2年間かけて携わったことですね。70代オーナーの『昭和30年代の奈良市内を再現してほしい』という夢を叶えるべく、企画から設計施工まであれほど熱くなったことはありません」
最近では、元毎日放送アナウンサーの近藤光史さんから、自宅にジオラマを製作してほしいと頼まれた。
「生まれ育った自分の故郷を再現してほしいと。二人で岡山の備前市へも行きましたよ」
個人オーナーからのオファーをいただき、同じ目線で夢を語り合いながらまちづくりをプロデュースする喜びを、ひしひしと感じた。
昔の街並みや故郷の再現、空想の世界の具現化など、ジオラマの表現エリアは幅広い。それだけに、豊かな創造力と鋭い感受性、それをかたちにする技術力など、求められる資質や要素は多岐にわたる。人生経験もモノをいう。
「完成して列車が走り出す瞬間、たまりませんよ」と言ってのける口調は、どこまでも熱い。
ジオラマに照明を灯したり音が出る仕組みなど、ジオラマにもエレクトリックなテクノロジーの分野が付加価値として求められる時代。
「大きな声では言えないんですが、現在香りを出す技術を研究開発中です」
これは珍しい。シャネルの5番とコラボでもしようというのか。
「それはヒミツです」
夢は限りなく広がる。
現場とオスィスを行ったり来たり。だからこそリラックスする時間も必要だ。
「実はママ友たちの会話を聞くのが楽しみなんですよ」
これは意外だった。
「自宅に数人集まって繰り広げられるママ友の会話はトレンドの宝庫。たかが雑談かもしれませんが学ぶところも多いですよ」と、新たなる発想の原動力になっているのだとか。ママさんパワー恐るべし。
3月9日(金)~11日(日)には、オフィスを置く大阪南港ATCで開催されるデザイン展にも出展する。もちろん会場にも顔を出す。現代版・箱庭師の横顔をぜひ。
Official http://www.j-modeling.jp
Web shopping http://www.j-modeling.com/











