「もちろん、すでにサインはありました。ただ、掲示位置が低すぎて、車両がたくさん駐車すると隠れてしまったんです」
サインの視認性を高めてほしい、という依頼だったが、北田さんはそこにプラス・アルファのアイデアを盛り込みたくなったという。
「子どもとショッピングセンターに行ったとき、どこに駐車したか全く分からなくなったことがあったんです。その時、子どもの『トンボの絵が近くにあったよ』のひと言で無事発見。それを思い出しましてね。それまでのアルファベットと数字の組み合わせに、絵柄マークも添えることにしたんです」
2011年9月にインテックス大阪で開催された見本市「LIVING & DESIGN」では、ODPのブースデザインを担当した北田さん。
「このLIVING & DESIGNは、例年ほとんどのブースがモノトーンのシックな雰囲気なので、あえて明るくオープンな感じにしたいと思い、光る柱を採り入れてみました」
仕込みの日に伺うと、北田さんの目が生き生きとしている。企業に在籍しているときに、インテックス大阪には何十回と来たそうだ。
「サラリーマン時代の現場経験は、今思えば宝です。さまざまなトラブルやクレームを通し、どう計画すればうまく流れるか、お客さまは何に怒り、何に喜ばれるか、スタッフをどうリードすればいいのかなど、机に向かっていただけでは絶対わからないことが体で学べましたね」
「もう一つ、やっておいてよかったと思うことは、デッサンです。入試対策でひたすらデッサンをしていたことが、ニュートラルな目を養ったと感じています。デッサンって、固定観念があるとダメでしょ。『目の前の正解』を、素直な目でいかに再現するか。今、クライアントと話をするときに、こうした感覚が生きていると思うことがよくあります」
北田さんの会社時代の先輩で、今もよきビジネスパートナーであるMさんに、北田さんについて聞いてみた。
「人の話を聴いて、理解し、その真意をとらえるのが上手いですね。クライアントの要望が未整理な案件などは、必ず参画してもらうようにしています」
今、北田さんはODP工房会の会長も務めている。1年任期とはいえ、入所者をとりまとめる役である。
「ちょうど就任直前に震災があり、結束の重要性を実感しました。一人だと心細いですからね。隣近所とのコミュニケーションを活性化していくことも、一つの防災ではないかと思います」












